今から約900年前に造られ、まさに機械式時計装置の“源流”とも言える大型天文観測時計装置”水運儀象台”が、デコールセイコー悠久の原型です。当時「天体の運行の規則性に天の法則を見て政治の基を定め天象の異変に天の意志を見て政治のあり方を正す」という理念のもとに政治が行われていました。そのため中国の天文学は国家の科学で、首都に置かれた天文台は、政府機構に欠かせない一部局であったと言われています。
機械式時計装置としては13世紀から14世紀にかけてヨーロッパで誕生したものより数百年も早く完成していたとされており、”水運儀象台”は、清らかなる自然の恵みである水を動力とし、天文観測塔の高さは12m。近代技術が生まれる以前に人類が造った最も巨大で精密な機械設備でした。

ファイブレバーの作動原理

• 1. 鋼球が回転機構のバケットに入ると最初の「レバー①」が押し下げられます。（画像A）
• 2. その力が連結された「レバー②」「レバー③」を介し、ストッパーの「レバー④」を解除します。（画像B）
• 3. 回転機構のパケットは一つ分回転し、再びストッパーの「レバー④」が働き、「レバー⑤」は逆回転を防ぐストッパーとして作動します。（画像B、C）結果、時計は37.5秒の時を刻み、1日2,304回この動作を繰り返します。

スパイラルアップ機構と鋼球の動き

• 1. スパイラルの入口に鋼球が飛び込みます。（画像A-①）
• 2. スパイラルが回転し鋼球がタワーを上がります。（画像B-②）
• 3. スパイラルの出口から鋼球が飛び出します。（画像C-③）スパイラルの入口に鋼球が飛び込む絶妙なタイミングは、レールの距離と斜度・摩擦などの綿密な計算により成り立っています。また、スパイラルの回転する力を鋼球がタワーに上っていく力に変換することで、極限の省力化に成功しています。